ご挨拶
一般社団法人甲府市歯科医師会会長の武井啓一と申します。
甲府市歯科医師会のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。 山梨県は、世界文化遺産に登録された富士山や八ヶ岳連峰、南アルプスに囲まれた山紫水明の地であります。我々は、その県都甲府市で、甲府市民のいのちと健康と安心・安全を守る専門家集団として、その責務を果たすべく、平成24年には一般社団法人に移行する中で地域住民の歯と口腔の健康のみならず健康寿命延伸のために、歯科医療や歯科保健を提供することを目的にして特徴あるさまざまな活動を行っています。
1 )夜間歯科救急事業
全国にも類をみない365日の夜間歯科救急事業を行なっています。平成10年に休日夜間救急として始まったこの事業は、平成16年に365日体制に移行し、近年では年間1000名を超える市民・県民の皆様が利用されています。平成26年4月には甲府市地域医療センターが新設され、平成26年9月からは口腔外科を中心とした1.5次救急体制の確立を経て、現在では、甲府市民の皆様のみならず広く山梨県民の皆様の安全、安心のための初期歯科救急医療体制の拠点としてさらなる充実が図られています。
2 )口からはじめる健康フェスタ併催甲府食育フェスタ
毎年6月の「歯と口の健康週間」において、“口からはじめる健康フェスタ”と題したイベントを、我々の会だけでなく市行政や保健所、そして歯と口の健康に関係した十数団体の方々と共に開催しております。このイベントでは、「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という“8020(ハチマルニイマル)運動”を啓発しています。8020運動は歯科医療を通じて乳幼児期からの全世代の歯及び口の健康を支えていくものです。
近年では口腔機能の維持・向上を目指すフレイル予防の啓発にも力を入れています。平成28年からは「甲府食育フェスタ」を併催して、各団体のブースでは、歯や口の健康ばかりか食育等全身の健康に関わる企画が、様々な趣向を凝らして実施されています。
お陰様で、年々多くの市民の皆様にお集まりいただき、新型コロナ前令和元年開催時には1200名を超える参加者があり、市民参加型のイベントとして定着しています。
3 )甲府市独自の健診事業
1歳半、3歳の乳幼児歯科健診につきましては、どこの市町村でも行われておりますが、甲府市では、独自の2歳児歯科健診に加えて甲府市国保に加入の4、5歳児を対象とした、”すくすく発育歯科健診”と銘打った健診を隔週土曜日午後、甲府市地域医療センターで行っております。この健診では、一般的な歯科健診に加え口腔機能と歯列発育のチェックも行なっています。そしてこの健診により、甲府市では、乳幼児期から高校卒業まで、途切れることのない一貫した公的健診の流れが実現いたしました。また、妊婦と成人を対象とした「歯周疾患健診」、75歳以上高齢者を対象とした「後期高齢者歯科口腔健診」を甲府市からの委託を受け会員の診療所において、すべての市民を対象に無料で行なっています。今後は、疾病の予防はもちろん口腔機能の発達・維持・低下に対応する視点で甲府市民の皆様の歯・口腔の健康を守る診療所機能の強化に努めていきたいと思っています。
4 )味覚教育
超高齢社会を迎えた現在、健やかで豊かな長寿を全うするためには「食育」が大変に重要になってきております。甲府市歯科医師会では、平成22年から多職種連携・協働による幼児(保育園児)を対象とした「しっかり噛んで、おいしく、楽しく食べる」観点からの味覚(五感)教育に取組んでいます。全国初のこの取組みは、平成26年から甲府市内の小学校でもモデル事業として始まっています。五感を用いて食べ物を味わうことの大切さを教育する味覚(五感)教育は、栄養教育とともに「健康」と「食」を考えるうえで重要な柱だと思っています。平成29年度にはそれまでの取り組みをまとめた「味覚教育マニュアル」を完成させました。このマニュアルをもとに、現在、味覚教育指導者の育成を始めています。
なおこの事業に関しては、日本小児保健協会総会(東京(6/21))において、令和元年度の小児保健・愛育会賞を受賞しました。またNHKクローズアップ現代+「味覚が健康を左右する」(令和元年6月13日放映)においても当会の味覚教育が紹介されました。
5 )医科歯科連携
平成24年4月1日施行の「山梨県がん対策推進条例」において、全国で初めて「がんの治療の効果を高めるため、がん医療と歯科医療との連携を支援すること。」という条文が盛り込まれました。この快挙は、がん患者の団体である「NPO法人がんフォーラム山梨」の講演会を甲府市歯科医師会が支援したことから始まりました。現在では、地域がん診療連携拠点病院である「市立甲府病院」との連携システムが構築され、がん医療における医科歯科連携が開始されました。今後は、甲府市民の皆様に対してより充実した医療を提供するために、糖尿病や認知症等に対しても医科歯科連携の強化を図っていく所存です。
6 )在宅歯科医療相談室
団塊の世代が後期高齢者になる2025年の超少子高齢社会までに、持続可能な社会保障制度を構築するための改革が急ピッチで進んでいます。平成26年6月には、医療提供体制の改革と地域包括ケアシステムの構築を目指す医療介護総合確保推進法が施行され、そのための財政支援制度(基金)が設置されました。甲府市歯科医師会でもこの制度を活用して歯科診療車の購入等基盤整備を行いました。平成28年には、甲府口腔保健医療センター内に設置した在宅歯科医療相談室に対して甲府市から業務委託を受けました。またセンター内にフリーランス歯科衛生士のスタッフバンクとして訪問口腔ケアステーションを開設しました。
甲府市歯科医師会は、歯や口に関する様々な情報の発信基地として、これからも“甲府市民の健康やQOL(生活の質)の向上のため”を基軸とした活動を続けていく所存です。 甲府市は、平成31年4月に中核市に移行しました。中核市には、保健所が必置となりますが、新しい形の保健所として、甲府市保健センターを統合した「甲府市健康支援センター」が新設されました。また、樋口甲府市長は、「健康」をキーワードとしたまちづくり、「健康都市こうふ」を目指す考えも示しています。甲府市歯科医師会も、「健康」を扱う専門家集団として、甲府市民の健康寿命延伸を目指して、「歯・口の健康づくり」を通して、口の機能を使ったさらなる「全身の健康づくり」に寄与できるよう、会員一同努めてまいります。新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態。その中で会を挙げて取り組んだワクチン接種への協力は、歯科医師としての役割を強く意識するものでありました。医療人としての使命感のもと、これからも患者様との信頼関係の構築、地域社会との連携協力を基盤として新しい時代を見据えて前進してまいります。これからも、我々のこのホームページをご利用頂ければ幸いです。
会長 武井啓一